2025年10月 TACT情報NEWS 第133号
メールマガジン
2025.10.03

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、行楽の秋、収穫の秋──
日本語には季節の楽しみ方を表す言葉が数多くあります。皆様にとって「秋」といえば、どのような情景を思い浮かべられるでしょうか。
10月に入り、TACTグループでは新年度を迎えました。
今月は、TACT積善公認会計士共同事務所 代表・額谷より「内部管理の重要性」についてお伝えいたします。
先日、地方金融機関の支店長が金庫に保管されていた現金約1億円を横領し、逮捕されたという報道がありました。「上場企業だから大丈夫」「金融機関だから安心」「官公庁だから不正は起きない」。私たちはつい、その知名度や規模から無意識にそう考えてしまいがちです。確かに、大きな組織の多くは内部管理体制を整えています。しかし残念ながら、それでも不正や横領に関する事件は後を絶ちません。
「不正のトライアングル」と表現される3つの要因が重なったとき、不正が生じやすくなると言われています。
- 動機・プレッシャー(それをやる理由)
(例)個人的に借金があり、返済不能な状況に陥っている - 機会(それをやるチャンス)
(例)現金出納帳を日々記帳しておらず、現金管理ができていない - 姿勢・正当化(それをやるための言い訳)
(例)頑張って働いているのに、評価してもらえていない
不正を防止するためには、これらの3要因を取り除くことが欠かせません。
組織としてまず対応すべきなのは、機会(不正をするチャンス)をなくすこと、すなわち内部管理体制の強化です。
内部管理の基本となる現金管理のポイントとして、以下の点が挙げられます。
1)会社と個人の現金を区分する
公私混同を排除し、会社と個人の財布を厳格に分ける
2)出納責任者を明確に決める
出納責任者を定め、現金の受払はその者が行い、第三者が帳簿の確認を行う
3)手許現金の保管上限額を決める
現金残高の上限を定め、超過した分は日々銀行へ預け入れる
4)社内精算のルールを決める
現金支払額に応じた承認者(決裁者)や、立替後精算までの期限等を明確に定める
5)現金支払いを極力少なくする
公共料金などは自動振替を活用し、経常的な取引や多額の支払いはすべて銀行振込とする
6)支払いは領収証または請求書に基づき行う
現金支払いは社内ルールに基づき、上司などの承認を得た領収証や請求書に基づいて行う
7)毎日、出納帳の作成・残高確認を行う
業務終了後に実際の現金を数える。
出納簿の残高と手許現金の実際有高が一致していることを日々確認する。
経理責任者は随時現金実査を実施し、金種別現金有高表の正確性を確かめる。
まとめ
現金管理は、TACTグループが提唱する「黒字企業のPDCAサイクル」の第一歩です。
不正を防ぎ会社の財産を守ることはもちろん、社員を守ることにもつながります。
現金管理の本質は「その場の確認を逃さないこと」にあります。
毎日の照合、リアルタイム記帳、証憑の即時保管──この3つを習慣化することで、不正リスクは大幅に低減できます。
十分にできていないと感じた経営者・管理者の方は、ぜひ即刻対応に取り組むことをお勧めします。
内部管理体制を強化したいとお考えの方は、ぜひTACT社員にご相談ください。