2025年8月 TACT情報NEWS 第131号
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2025.08.06 2025.09.03

今月号では、TACT社会保険労務士法人の八木より、令和7年6月13日に成立した「年金制度改正法(※一部改正)」に関する、公的年金制度の見直しについて、主な概要をお伝えいたします。
1.被用者保険の適用拡大等
① 短時間労働者の適用要件のうち「賃金要件」を撤廃するとともに、「企業規模要件」については令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃されます。
② 常時5人以上を使用する個人事業所の「非適用業種」を解消し、被用者保険の適用事業所とします。
※既存の事業所については、経過措置として当分の間、適用されません。
③ 適用拡大に伴い、保険料負担割合の変更により労働者の保険料負担を軽減可能とし、労使折半を超えて事業主が負担した保険料については、制度的な支援が講じられます。
2.在職老齢年金制度の見直し
一定の収入がある厚生年金受給権者を対象とする在職老齢年金制度について、支給停止の基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げます。
3.遺族年金の見直し
① 遺族厚生年金の男女間格差を解消するため、18歳未満の子がいない20~50代の配偶者について、原則5年間の有期給付とし、60歳未満の男性も新たに支給対象とします。
この変更に伴う配慮措置として、以下が設けられます:
・5年経過後の給付継続
・死亡分割制度および有期給付加算の新設
・収入要件の廃止
・中高齢寡婦加算の段階的見直し
② 遺族基礎年金について、子に対する給付に関し、「遺族基礎年金の受給権を有しない父母と生計を同じくする場合に支給停止」とする規定の見直しが行われます。
4.厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ
標準報酬月額の上限について、負担能力に応じた公平な負担を求め、将来の給付の充実を図る観点から、現行の65万円から段階的に75万円まで引き上げられます(※)。
また、最高等級の被保険者が全体に占める割合に基づき、上限を改定可能とする新たなルールも導入されます。
※68万円 → 71万円 → 75万円の3段階で引き上げ予定。
5.将来の基礎年金の給付水準の底上げ
① 政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極めながら、給付と負担の均衡がとれた持続可能な公的年金制度の確立に向けた検討を行うとしています。
詳しくは、以下をご参照ください:
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf
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