2025年6月 TACT情報NEWS第129号
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2025.06.04

今月は、資産税部の廣瀬より、「教育資金の贈与」についてご説明いたします。
教育資金の贈与を検討される際によくいただくご相談の一つに、「子や孫へ教育資金を贈与したいが、どのような方法があるのか分からない」というものがあります。教育費用は、年間110万円(暦年贈与の基礎控除額)を超える場合も多く、贈与税の申告が必要かどうかを不安に思われている方もいらっしゃるかと存じます。今回は、教育資金の贈与に関する主な方法について、整理してご紹介いたします。
― 教育資金贈与の主な3つの方法 ―
① 教育資金の一括贈与の特例の活用
この特例を活用することで、最大1,500万円までの教育資金を非課税で一括贈与することが可能です。便利な制度ではありますが、活用には以下のような手続きが必要となる点にご留意ください。
- 金融機関における「教育資金管理口座」の開設
- 「教育資金非課税申告書」の提出
【特例概要】
30歳未満の直系卑属(子・孫)に対し、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、直系尊属が教育資金として一括贈与した場合、1人につき最大1,500万円まで非課税となります。ただし、30歳時点で使いきれなかった残額には贈与税が課されます。また、相続財産が5億円を超える場合には、相続税が課税されます(令和5年4月1日以後の拠出分)。
② 都度贈与による教育資金の負担
教育費用が発生するたびに、その都度必要額を贈与する方法です。この方法では、「生活費や教育費用として通常必要と認められる範囲内」であれば、贈与税の課税対象外とされます。
- 一括贈与はできませんが、その都度費用を負担することで贈与税申告が不要となる点がメリットです。
- 資金用途が明確で、かつ日常的な教育費用であることが重要となります。
③ 暦年贈与・相続時精算課税制度の活用
一般的な贈与制度を用いて、年間110万円の基礎控除額の範囲内で贈与を行う方法です。
- 暦年贈与: 年間110万円まで非課税(基礎控除)
- 相続時精算課税制度: 年間110万円まで非課税(基礎控除)。基礎控除額を超えた金額は、合計で2,500万円までは贈与税の特別控除が適用されます。なお、控除額を超える贈与分は、将来の相続時に相続財産として加算されます。
これらを活用して教育資金を贈与することも可能ですが、①②のような「教育資金としての非課税枠」は適用されません。そのため、教育費用以外も含めた贈与額の合計が基礎控除額を超えないよう、十分ご注意ください。
おわりに
以上、教育資金の贈与における主な3つの方法と、それぞれの特徴についてご紹介いたしました。各制度にはメリット・デメリットがございますので、状況に応じて最適な方法をご検討いただければ幸いです。ご不明点や具体的な実行に際してのご相談は、どうぞお気軽に高井会計の担当職員までお申し付けください。