TACTグループ 税理士法人
TACT高井会計事務所代表社員 税理士 高井法博
事務所開業前、見ず知らずの私を会社の寮に入れ学費や生活費などの一切の面倒を見、昼間の商業高校に通わせていただいた、大恩ある会社に勤務させていただいていた。
そこは農業関連の会社で、日本社会が第一次産業から第二次・第三次産業に急激に脱皮する真最中で、私はその関連会社の中堅幹部として、能力以上の難問を来る日も来る日も突きつけられ追い詰められていた。正直逃げ出したくてたまらなかった。
しかし、高校時代の『堅忍不抜』と教えられた岐商魂。また、病床で生活保護を受けている両親や家族のことを想うとどんなに辛くても私には逃げる所がなかった。 もともと、取り立てた才もない上に神経質な自分は能力以上の難しい仕事で自律神経に変調をきたしこのままでは死んでしまうのではないかと想う日々であった。
『この現実に勝利しない限り自分の人生は前に進めず終わってしまう』と考えた。
不退転の気持ちで全力を尽くして難問にぶつかっていくと不思議と道は拓けてきた。その後、働きながら独学で税理士試験にも睡眠時間を四~五時間にして挑戦した。 これらの体験を通し自らの哲学とまでなったのは『それが正しいことであるならば人の倍。倍で無理ならば密度で人の三倍全身全霊を込めた努力と脳みそがちぎれる位考えに考え抜いた工夫をすること』であった。
不退転の決意と行動ー創業時の思い出。
お許しを得て事務所を開業した。 私は自分の生命を仕事にかけた。 それこそ四~五時間の睡眠時間以外、一年三六五日のすべてを朝から夜遅くまでひたすらどうしたらお客様に喜んでいただけるか、どうしたら事務所が発展するか、会社の成長を願い自分と会社が一体となって打ち込んだ。 こうすると会社は前に進み、戦うたびに勝てた。いつしかこの姿勢が緩んできている。誰もが経験のある、あの必死な創業時を今こそ思い出そう。
具体的にやるべきこと。
やる気だけでは空回りする。経営は論理の積み上げである。具体的な留意点、やるべきことを列挙し『経営戦略策定』のための参考にしていただきたい。
①売る物を磨く。ー競争力をつけること。
製品・商品・サービスなど売る物をいつまでも同じではなく、品質・値段・納期・技術に磨きをかけ、新製品の共同開発、新企画を充実させ他との差別化を図る。競争に勝つ企画力を強化する。
②お客様の数を増やす。
今お客様は廃業、統合、倒産などでどんどん減っており、価格破壊で売上高、限界利益も減り続けている。成長とは、一言で表現すればお客様の数を増やすことである。事業は手品でも偶然の産物でもない。地道な顧客創造の連続で成り立つものである。減る以上にお客様の数を今の二倍三倍に増やし、繰り返し繰り返し買っていただこう。
③固定費の削減・・・特に、人件費の考え方。
産業界が直面する本年最大の課題は、間違いなく『賃下げ』になるだろう。日本の人件費は中国の二十倍、英国の四倍と言う。このままでは日本の製造業は全滅する。かつての年功序列から時代にマッチした成果主義による給与体系の確立は急務である。また、三年経って軌道に乗っていない部門や一定金額以上の欠損を出している不採算部門はこの際勇気を持って切ることも必要である。
④バランスシートをスリムに。
財務体質が悪いと評価されず生き残れない。受取手形・売掛金・在庫・その他の不良資産・不要不急の資産は極力持たず、必要な資産は賃借やリースを検討し、売却や償却を行い極力現金化し、スリムな筋肉質な体質にする。
⑤徹底した勉強と実践。
経営者が判断し実行しなければならないことは山ほどある。そのための勉強を徹底して行おう。今年も真に必要な勉強会を精一杯企画し実施する。この難局に命をかけて対峙し、学び気づくことを実行に移そう。限界を超える程の必死な経営者の生き様が会社を救うことになる。今年こそ、利益体質の素晴らしい会社に作り変えよう。 |